2012-12-19

『はちみつ色のユン』クロスレビュー:魂の浄化 このエントリーを含むはてなブックマーク 

朝鮮戦争で孤児となり養子になった子供が20万人…
この事実に、まずショックだった。

ベルギーの家庭に引き取られた主人公「ユン」は
自分が養子であり、アジア人(ハチミツ色の肌)である事等々で
居場所がないのを強く自覚している。

何とも涙ぐましいのは、ユンは自分が「愛されている」「安らぎを得たい」
と望んでいるにも関わらず、素直になれずにいるし
養父母も、そこまでユンの気持ちを察する事が出来ないでいる。
そして、問題ばかり起こすのだ。
…自分を認めてもらいたいが為に…

とにかく、双方の行き違いが感じられて痛かった。

私が良く知っている里子の家庭では(実子の他に複数里子がいる)
親を引き付ける為に、男の子は、絶えずはしゃぎ回って問題を起こし
女の子は、ませているが言葉を飲み込んでしまうので、異常な程、里親に忠誠心を見せる。
そして里親は、養子達のサインを見抜けず、勘違いばかりしているように見えた…

…自分は望まれてこの世に生まれてきたのだろうか…
この問題は、おそらく、ほとんどの子供が経験しているのではないだろうか?
実子であるにも関わらず、ましてや里子の苦悩は、いかばかりだったんだろう。

だが、ユンは繊細だったけれども同時に逞しかったようだ。
不器用な生き方かもしれないが、彼は必死に、生きる事を選択したのだ。
そして里親との本当の心の交流があった時に、自身をも愛せるようになった。

この映画を通して、ユンが伝えたかった事はシンプルだ。
確かに、複雑なバックボーンではあったけれども、
彼は、心に傷を抱えている人間にエールを送っている。
実に温かいタッチのアニメーションで、心の傷を浄化させつつ
愛と希望を込めて。

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gondwana

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