2011-12-07

映画『UGLY』のレビュー:ネットから劇場へ、ムーブオーバーも当然の高いクオリティー このエントリーを含むはてなブックマーク 

ネット配信されていた映画の試写会、ということで、若干の不安もあったのだが、見終わった後は最初の不安も消し飛ぶくらい、面白く、興味深い映画との出会いに、得した気分になった。実は、同日同時刻の『ワイルド7』の試写会も当たっていたので、どちらにしようか迷っていたのだが、こちらにして正解だったようだ。

 オープニングからしばらくは、登場人物の自己紹介的な演出が目立ったため、ややのらりくらりしたものを感じたが、主人公が日本人の女性と出会って映画が動き出してから、一気に面白くなっていった。

 この作品の監督の柿本ケンサクは、失礼ながら知らなかったのだが、手持ちカメラが主流にも関わらず、きちんとした構図を組み立てや人間味に奥行きを見せる細やかな演出など、大きなスクリーンでも充分に耐えうる力量をもっている。一流監督と呼んでも、何ら問題ないアーティストのひとりだ(大きな劇場にかかる映画を撮っていても、とても一流と呼べない監督も日本にはけっこういる)。今後も楽しみにしたい監督さんだ。

 そして久々に映画で見た主演の窪塚洋介の演技も、なかなかに味わいがあったのも見逃せない。共演した桃生亜希子が主演をうまく物語に引っ張りこんでいたのもあるが、あまり浮いた感じもなく、舞台のパリに、物語に溶け込んでいたのは、さすがなところを見せていたと思う。

 デジタル映画については、いろいろ言われてはいるようだが、ミニシアターが少なくなってきている以上、ネットが映画の発表の場となるのなら、デジタルは映画の可能性を大きくさせる意味でも、見る側は度量を広くして受け入れるべきだろうと、この作品を見て痛切に感じた次第だ。この作品を最初に公開した、theatre-tokyo.com の今後にも大いに注目したい。

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山中英寛

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山中英寛

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