2011-09-30

河瀬直美監督「朱花の月」(ユーロスペース)を観て。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

小水とうた様
 初主演おめでとうございます。
 冒頭の懐かしい大和三山の風景に「畝傍山、香具山、耳成山・・・」というナレーションが重なったとき、今から25年ぐらい前のことを思い出した。とうたの親父、小水ガイラさんと初めて会ったときのことだ。夕暮れ時、小水家に行くと(何故行ったか忘れたけど)ガイラさんは、せっせと手料理を作り出し、納豆と山芋とオクラを混ぜながら「これでビンビンだぜ。ウシシシ・・・」とか「皆さん、今日は小水家最後の晩餐だ。今日のね」とか云いながら、ご馳走を作ってくれた。夕食後、ガイラさんは、俺が奈良県出身だと云うと「畝傍山、香具山、耳成山の山頂を線でつなぐと、二等辺三角形になる。これには宇宙からのメッセージが含まれているんだよ」とか、もっともらしい哲学者のような顔をしながら胡散臭い講釈を述べていた。当時は「変なオモロイことを云う人だなあ」というカンジだったけど。いろいろお世話になりました。それが、今、息子のとうたが、映画のナレーションで大和三山のことを語りだし、映画の中で見事な包丁さばきを見せると、いっきにフラッシュバックしたわけだ。デ・ジャ・ブ?DNAの為せる業?驚いたねえ。困ったもんだよ。ここんところ、ガイラさんには会ってないけど、お元気か?喜んだろうな。息子二人がレッドカーペットを踏んだんだから。ピンク界の鬼才と呼ばれた小水ガイラは踏めなかったんだから。なんだかカタキを取ったようなカンジに思えるぞ。ウレシイぞ。よくやった。ついでに云っておくけど、河瀬監督は、俺の出身高校の後輩だ。(後輩と云っても、会ったことはない。だから先輩ヅラ出来るわけじゃないし、やっちゃあいけねえ)。だからどうーしたと云われても困るけど。映画はどーだったかって?とうたが出ているだけでよろしい。次回作に期待、、、と言いたいとこだけど、あんましイロケを出さないように。聞くところによれば俳優事務所になんか入っちまったらしいけど。奈良の店がんばってくれ。そのうち悪友と襲撃に行くぞ。俺もオメェのことを喜んでる場合じゃない。自分の部屋のカーペットの掃除でもやろう。コロコロで。ホナサイナラ。

P.S.思い起こせば30年前、夜行バスに揺られて東京へ。コンクリートジャングルで道に迷い、3畳一間で貧乏神に取り憑かれ、「人間否定」されるまでの劇団稽古に歯を食いしばり、活路を求めた弟子入りスナック住み込みバーテン生活、「肉体訓練さ」と自分に嘘をついた建築現場のバイト、いまでも突然物陰から出てきた女性(ひとりではない)に後ろから刺されても文句言いようが無い非道、怠惰、傲慢、利己主義なヒモ生活。試行錯誤なのかストレスのはけ口なのか分からない演劇人同志の喧嘩と酒・・・そして、いまだ日の目を見てねえ俺・・・なのに、なんで仕出しの弁当屋のオメェがレッドカーペット歩いて、主演なんだ!・・・あースッとした。

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大倉順憲

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