2011-08-05

『ツリー・オブ・ライフ』クロスレビュー:どこにでもありそうな家族の記憶という宇宙 このエントリーを含むはてなブックマーク 

どこにもありそうな家族の記憶…特別厳しかった父親への憎しみに近い想いを綴りながらも、壮大なスケールの天文学的レベル或いは神の視点までズームアウトした映像は、ある意味宗教観に頼られた描写だろうかと感じてしまった。(じぶんが似てると感じた手法てきなところで)コッボラの「コヤニスカッティ」やキアヌリーブスが演じた「ブッダ」のようになにかを示唆しようという意図はなくて、どこにでもありそうなごく普遍的な「父親の記憶」というところがこの監督らしいし共感するところだ。なので、みたこともないような映画と言うほどの斬新さはかんじられなかったが、日常の人間ドラマと自然環境の対比はこの監督の得意なところらしいという評判に納得。『天国の日々』『シンレッドライン』ともに、その時代にありそうな痛みをともなう人間の営みが描かれ、日本映画にもこういった名作は思い浮かぶし、冒頭にも書いた「宗教観」とはいってもじぶんにとって全く異質なものではなかった。

俳優であり、今回製作メンバーでもあるブラッド・ピットは、子どもや妻にとって絶体的な権威をもつ、切れっぷりのはげしい親父を真っ直ぐ演じ切り圧巻!
夢の断片のように、もの足りないくらい説明的言語を排除しながら「父親」とのエピソードが語られ、あれは何だったのかを自問自答する一人の男にこちら側も感情移入してしまう。ショーン・ペン演じる壮年の実業家のモノローグに登場するクセのある少年(ショーン・ペンに似ている!)の表情から言うまでもないモヤモヤが伝わってくるリアリティ。。大人の俳優以外は、現地の素人から選んだらしく?むしろブラビが、その当時の父親のスケール感におさまっているところが素晴らしかった。。

50年代のアメリカ中流家庭のインテリアは、いま東京でも売られているちょっと渋いセンスのモダンな家具やカーテンの色合い。登場人物の衣装やクルマも含め古き良き時代の空気感なども見どころだ。

大人の男性ほど、この少年たちの目線に共感してしまうのでは?と想像する。
きっと母親が天下をとってる家庭もあったのだろうね、とか。

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