2010-12-30

石橋英子『carapace』レビュー:声と楽器 このエントリーを含むはてなブックマーク 

2010年に自分の見た石橋英子のライブの中でも印象的だったのは、
Phewのライブと長谷川健一のライブだった。
それはいずれも個性的なヴォーカリストのバックでありながら、
その個性を際立たせるピアノを弾きつつ自らの存在感も
強く印象に残させるもの。

今度の新しいソロアルバムは、
今まで本人も「自分の声は嫌だ」と言ってきたところから、
一歩踏み込んで、石橋英子という個性的な声をもって伝える、
という境地に入ったのではないだろうか。
そういう意味では彼女の声が、
今までマルチ・インストゥルメンタリスト扱ってきた楽器と
初めて同等になった作品といえるだろう。

全編参加、プロデュースも担当するジム・オルークを除いては、
ゲストも最小限にひかえて、丁寧に作りこまれている。
薄暗い場所で聴いていると、非常に心地よい気分にさせてくれる。
新たに自分の声という武器を手に入れた彼女の音楽は
今後の可能性に今まで以上の多大なる期待を持たせるものだ。

<今回の体感試聴会について>
ただ音源を聴くだけでなく、その後ミュージシャン本人から
アルバムに対しての説明が聞けるというのは非常に嬉しいことだ。
今後もいろいろなミュージシャンで、この企画をやってほしい。
ベストアルバムで、1曲ごとに解説してもらう、などというのもいいかな。

キーワード:


コメント(0)


Isshee

ゲストブロガー

Isshee