2010-11-09

『ベオグラード1999』クロスレビュー:真摯な姿勢や正直さがこの映画からは満ち溢れている このエントリーを含むはてなブックマーク 

監督の真摯な姿勢や正直さがこの映画からは満ち溢れている。だから、観終わったあとに良いエネルギーを貰えたなと感じた。それにしても、ラストシーンには鳥肌が立った。構成力があるという技術的なことはもちろんなのだが、彼女に対して真剣に接し考えた、その本物の感情や姿勢に僕は感動したのだ。それは並大抵のことではなく、必然的に自らの内面をえぐることになる(表現者はこの覚悟があるかないかが肝だと思う)。単なる構成要素として人の死を持ち出されると凄く残念な気持ちになってしまう。それがなかった。純度が高い監督だからこそ強烈な強度の映画を生み出せたのだと思う。

また、木村三浩さんが実に良いと感じた。知的で野心に燃えていて世の中の本質を暴き出し自らの望む世界を作り出そうとする姿には、政治的立場や思想の違いなどは置いておいて単純に感動したし格好良いと思った。顔や声がいい。信念に燃えている人は魅力的なのだ。かつ冷静沈着な佇まいにも魅了された。

つまり、僕の考えは、思想、行動、すべてそれぞれ人の自由だし、知ったこっちゃない。まだ自分のことで精一杯の段階だ(いずれは他人のことも真剣に愛せるようになりたい)。ただ、純粋になにかに燃えて闘っている人の姿は凄く魅力的だし、他人になにかしら影響を与えることが出来るのだ。映画を観て、そのポジティブな部分に惹かれた。しかし、少し間違えると危険で、それを察知する判断能力は常に持っていないとなと思う。そのようなことを考えた。話は飛んでしまうが、人を殺したいと本気で思ったりしたら、その爆発的エネルギーをそのまま行動に起こすのではなく、表現として昇華させれば良いのにな、ということも映画中考えた。エネルギーそのものは悪くなくて使い方次第だと思う。なぜこのようなことを考えたのだろうか。そうだ思い出した、僕は右翼だ左翼だ血だ国だというような争いにエネルギーを注ぐつもりはなく、自分の信じた「笑い」に全エネルギーを注ぐつもりだと常々考えているからだ。やっぱり話が飛びすぎたかな。でもまあしょうがないや。これでいいのだ。何が正解なのか。正解など元々無いのだ。この世は空。ボブ" ディランの言葉で締めくくる。

「やらなきゃならないことをやるだけさ だからうまくいくんだよ」

コメント(0)


林誠太郎

ゲストブロガー

林誠太郎


関連骰子の眼

関連日記