2010-06-21

共生する音の彼方 このエントリーを含むはてなブックマーク 

「サウンドアート」という言葉を知ったのはここ2年くらいのだと思う。単に僕個人がそういったアート畑の情報やワードに疎いだけかもしれない。この本にはサウンドアートの歴史や文脈といったものがきめ細かく書かれている。しかし読後も「サウンドアートって何?」と訊かれて、つまりこういうものですと答えられる自信はない。サウンドアート全般のことを詳細に扱ってはいるが、あくまでサウンドアートの主体は音であり、ギャラリーやライブハウス、そして自然のなかにある、らしい。僕はここに紹介されているアーティストを殆ど知らない。知っていてもそれはロックやノイズミュージシャンとしての活動を知っているだけでサウンドアート的側面に関してはほぼ無知だった。漠然とした分野であり、アーティスト自らも“サウンドアーティスト”と名乗ることに抵抗があるというこの「アート」の概念(もちろん定まっていないし著者の主観ともとれる)は“カテゴリーをまたぎ、つなぐもの”なのだそうだ。どんなカテゴリーをまたいで、サウンドアートは我々と何を繋ぎあわせてくれるのだろうか。その答えはこの本にはなく、サウンドアートの生きた現場で体験するしかないし、探索するしかない。そこまでの道標、まさに“架け橋”となるのがこの著書なのである。

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atyaty

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