この文章は“一般社団法人 外国人生活サポート機構”(FOLIS)が契約者に発行しているメルマガ(FOLIS通信)に連載している「在住外国人に知っていて欲しいこと」の原文記事です。
因みにこのメルマガは、契約者に応じ日本語・中文(繁体)、韓国語の三言語で配信してます。
■「外国で暮らす」という意味
FOLIS通信をお読みの方の多くは、自分の母国を離れ、外国である日本で暮らすかたですが、この「外国で暮らす」という意味を改めて考えて見ましょう。
「外国で暮らす」というということは、一言で言えば“母国の常識が通用しない”ということです。
日本は“清潔な国”であるとか“秩序のある国”であると海外から言われています。それだけに人々の行動には制限されることも多いし、高いモラルを求められることが多く、正直、この国に生まれた日本人自身にとってもかなり“わずらわしい”こともあります。恐らく海外で生まれ育った人にとっては“窮屈な生活”と思われるでしょう。
しかし、貴方が日本での生活を選択し、この国での生活を始めてしまったからには、貴方だけが“日本での常識”を無視することは許されません。貴方の“母国の常識”はここでは通用しないのです。
「郷に入らずんば郷に従え」という諺がありますが、正にそれです。
日本に来た以上は、何国人であっても“日本の常識”に従って行動する必要があり、それを守れない場合には暮らしにくくなりますし、周囲の人々との軋轢を生むことになります。この場合、貴方がいかに“母国の常識”を持ち出しても、それは通用しません。そんなに“母国の常識”を前面に出した生活をしたいのなら、母国に帰った方がいいと思います。
せっかく海外で生活するのなら、今までの貴方の生活を全て棄て、全く異なる環境の中で新しい自分として生きて見る――ということは案外オモシロいコトですよ……。
もうひとつ「外国で暮らす」場合の注意をお教えしましょう。外国に生活する貴方は、×●?!#%$@という個人であるのと同時に、貴方の母国を代表する○○人として、その国の人には見られているのです。例えば貴方が、何かその国の常識を破るようなことをした場合、×●?!#%$@という個人がやったこととして認識されるのではなく、貴方の母国である○○人の行動として認識されるというわけです。
外国人に対してこうした見方をするのは、何も日本だけの特殊現象でないことは、貴方もわかっていることでしょう。世界中、どこの国においてもこうした傾向はあるのです。
しかしこれは必ずしも悪いことではありません。例えば、私は80年代末に3年ほどフィリピンに暮らしましたが、私が日本人であるということで、部屋を借りる際に非常に有利に借りることが出来ました。フィリピン人の間では、日本人はきれいに部屋を使うし、家賃はちゃんと契約どおりに払う。周辺とのトラブルを起こさないので、貸すにはいちばんいいお客だ――これは契約に際して私自身、大家さんから直接聞いた話しです。日本人として非常に誇らしく思ったと同時に、日本人の評判を落とさないように暮らす覚悟をした次第です。
日本ではよく“○○人は××”などと言われます。○○人である貴方には心外であることでしょう。しかし、そう言われるという事は、過去において○○人は度々××のトラブルを起し、それが原因で○○人の評判が悪くなった……ということを意味します。“○○人は××ではない!”と言いたいのであれば、貴方が努力して、違うと言うことを日本社会に証明しなければなりません。貴方の母国の評判を落とさないため、また貴方に次いで日本に来ようという後輩達のため、“○○人は××ではない!”と言うことを証明してください。
私たち日本人は、日本の常識を守って日本社会の中で一生懸命に生きる外国人の方を歓迎しますし、FOLISはそういう方の生活をご支援します。