2010-03-17

音楽の力を感じる映画です。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

ホーミーのCDは持っているし、コンサートにも行ったことがある。だから、すばらしい音楽であることは知っているつもりだった。しかし、モンゴルには行ったことがない。この映画を見て、モンゴルはどんな国か、ホーミーはどんな人が歌っているのか、がわかってますます好きになった。

モンゴルの美しくも厳しい自然。その中で暮らすちっぽけな人間。こういう環境の中で、必然的に生まれてきた音楽がホーミーなのだ。「体の中に風が通り過ぎる音」・・・まさに自然と人間が一体になった至福の瞬間。コンサート会場ではなく、荒涼とした大自然の中で歌われるのが、本当のホーミーなんだって、この映画がわからせてくれた。

ウランバートルの都会の夕日に向かって歌われるホーミーもまた、別の意味で味わい深い。時代の流れの中で、失われる危機に瀕しながらも、都会に出た若者の中でたくましく息づくホーミーは少し悲しいけれど、やはり力強い輝きに変わりはない。

映画の中に登場する音楽は、ホーミーだけではない。馬頭琴という弦楽器の演奏もあるし、オルティンドーという歌もある。モンゴルの音楽はとにかく力強い。そうでないとモンゴルの厳しい自然に負けちゃうから。映画の中で演奏される楽曲は、あまりカットされずに、しっかり収録されている。記録という意味もあるのだろう。ほぼ完全な形で聞けるのはありがたい。思わず聞き入ってしまう、そんな力がモンゴルの音楽にはある。それが、この映画の背骨になっていると思う。

まったく違う人生を歩む2人の若者。共通点はホーミーの名手だということ。この2つの人生が、ホーミーの源流であるチャンドマニ行きの長距離バスの中で交錯する。・・・ドキュメンタリーなんだけど、ちょっとフィクションの入った味付け。この意外性がまた心地よい。この映画は音楽映画だ。音楽をよりいっそう感動的に引き立てる演出は大歓迎。

繰り返しの鑑賞にも堪える、モンゴル音楽のPVとも言えるような、そんなすてきな映画です。

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へけもそ

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