監督:テリー・ギリアム
出演:ヒース・レジャー、ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレル、クリストファー・プラマー、リリー・コール、トム・ウェイツ、アンドリュー・ガーフィールド、ヴァーン・トロイヤー
2009年/122分/イギリス、フランス
1000才という超老人のパルナサス博士(クリストファー・プラマー)は、美しい娘(リリー・コール)と共に、鏡の中の想像世界を披露する旅芸人の一座を率いていたが、ある賭けのタイムリミットで悩み苦しんでいた。そんなある日、謎の青年トニー(ヒース・レジャー)を助けるのだが…
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ヒースの遺作でもある本作(心待ちにしていた)の初日に駆けつけることができました@TOHOシネマズ六本木ヒルズSCREEN6。けっこう混んでいて、心なしかお洒落ガールズ&ボーイズの比率が多いような…それはやはりヒース、ジョニデ、ジュード、コリンといった豪華キャストのせいなのでしょうか。
…それはいいんだけど、いつもながら話題作の初日ってどうしてこうもマナーの悪い客が多いのか。私の隣の女性客なんか、中盤あたりで携帯をチェックして席を立ったかと思ったら、飲み物と食べ物を買い込んできて、人の足を思い切り引っかけといて謝りもせず、すごく不機嫌そうに食べ続けていました(どうして映画なんか観に来たの?と聞きたい)…
そういう不愉快な環境だったとはいえ、作品は私好みでとにかく素晴らしく…あまりにも全編濃密なギリアム・ワールドに、彼のファンでない、ただイケメン俳優目当てに来たような人にはきつかったのではないだろうか?
現実世界の撮影を終了したところでヒースが突然亡くなり、途方に暮れたギリアム監督…だったものの、ヒースの親友たちが幻想世界を演じることで完成させたという…製作そのものがこの作品世界と重なり合うような多重構造を持つ摩訶不思議な世界。
こればっかりは劇場で、観客自身が映画の中へ、まさに鏡の中の想像世界を探索するように体験するしかない、映画の醍醐味を味わうための映画である。
個人的にはあの「イマジナリウム」舞台装置のノスタルジックな怪しさが、幼少期に夢と現実の境目で魅了されながらも畏怖した世界そのもので、めくるめく…そう、眩暈がしそうだった。
脳内狂気の映像化を実現するテリー・ギリアムってやっぱり凄い(周囲のスタッフも)。
彼のこれまでのトラブルをはねのけながらも作り続ける壮絶な映画人生には、励まされる映画人も多いことでしょう。
…まったく。