2009-10-22

outstanding!なアニメーションで記憶の旅 このエントリーを含むはてなブックマーク 

アカデミー賞外国語映画賞ノミネート、ゴールデングローブ賞外国語映画賞受賞他、様々な賞をかっさらっていったという評判のこの作品。これまた突出したアニメーションの登場だ。

まず目を奪われるのは、映像の突出したセンス。ビビッドな色使いに、大胆で太めな線でクッキリ明暗を浮かび上がらせる、劇画タッチの人物の輪郭線。
さらに、CGを駆使して背景画像に疾走感を感じさせる。人物が走るその背景が、気持ちよく歪んで後ろに流れていく。絵とCGとの混ざり具合、これが音楽にピッタリ合っているのだから、たまらない。しかも、音楽がまた最高に格好イイのだ。このセンスにまず痺れる。

物語は、アニメーションでありながら、フィクションではなく、ドキュメンタリーであるということに、今更ながら驚きを禁じ得ない。
実写であったなら、そこに感じていたであろうはずの圧倒的なリアリティ。このアニメから感じるものは、その代わり、別の惑星にいるかのような浮遊感がそこにあるのだ。

まるで、今まで自分が一度も見たことのない映像のように感じさせる。もしくは無意識の底から沸き上がってくる、自分自身の夢に似たようなデジャヴ感、というべきか。
この相反する二つの感情を、同時に感じさせるこのアニメーション、これは・・・そうだ、きっとドラッグをやったことのある人間ならば「トリップ感」と呼ぶのだろう。

これにもし似ているものがあるとすれば、私はリチャード・リンクレイター監督の手がけた、素晴らしいロトスコープアニメの作品、『ウェイキングライフ』を挙げたい。映像技術でもちょっと類を見ないような、一風変わった奇妙な作品に、当時度肝を抜かれた。不協和音のヴァイオリンの音に誘われて、まるで別世界を旅するかのような、実写をアニメーションにトレースするという特殊な方法を取り上げた意欲作だ。

そしてこちらの作品も、『ウェイキングライフ』のように、自分の夢と記憶を旅する物語。
「記憶は、そこになかったものまで蘇らせ、同時に何かを隠すこともする」。

だんだんこの謎が明かされていく中、その記憶の正体の分かったラストに、酷く大きな衝撃を感じるかもしれない。

それにしても、初めこそ刺激的に思えたアニメーション技術であるが、
次第にこれがアニメーションであったことすら忘れて見てしまう。そこにもう一度驚いてしまう。
まるで実写と見まごうようなカメラワークが、あまりに自然になされている。
最後になるにつれ、アニメであったことにすら忘れてしまう程であった。

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とらねこ

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とらねこ

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