2009-09-19

「ウイグルから来た少年」を観て このエントリーを含むはてなブックマーク 

 カザフ人少年とロシア人少女と中国から逃れてきたウイグルの少年。民族の違いを越えた不思議な同居人たちは廃屋に住み、身を削るような底辺の生活をしている。
 彼らがどうやって出会ったのか、どういう生い立ちなのか、そのような背景は一切語られない。ときおり挿入される夢想が彼らの潜在意識を物語るだけで、それ以外の感情を排した映像は客観的というより感情移入を拒む装置のようだ。
 捕えられた母を助け出すために自爆を承認するウイグルの少年。テロは決して美化すべきではないが、絶望の中で生きるウイグル人少年にとって、これほど意味のある死はなかろう。テロリストとなるための訓練で、カラシニコフを掲げる姿や爆発物を扱う手つきはぎこちない。テロの標的も、果たしてテロが成功したのかも明確にされない。しかし、今年公開というタイミングにおいて、このあいまいさは結果としてよかった。もし現実に子どもが自爆テロリストとなるような事態となった場合、問題の深刻さは予想をはるかにこえたものである。

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misakk

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