2009-01-08

『崖の上のポニョ』とガザのジェノサイド このエントリーを含むはてなブックマーク 

 世間に合せて、五日(月)から平常モードに戻ってきていたのですが、昨日はいろいろと精神的に疲れることがあって、十二時間も寝てしまいました。

 六日(火)は久しぶりに行きつけの下高井戸シネマで、『崖の上のポニョ』(08年、監督・原作・脚本:宮崎駿、声:奈良柚莉愛、土井洋輝、山口智子他)を鑑賞。

 http://www.ghibli.jp/ponyo/top.html

 事前に電話で問い合わせた際には、補助椅子も出る程混んでいるという話だったものの、実際には七、八割がたの入り。ただし観客の中で若い母親+幼い子どもの占める割合が高く、上映中のおしゃべり等に不安を覚えた。幸いにも作品の魅力のお陰か、ほぼ杞憂に終ったが。

 宗介宅やリサの勤務先のデイケアーサービスセンターの優しい、そしてポニョの母の眩い、色彩の美しさは圧倒的。またダイナミックに動き回る波の迫力や古代魚の真に迫る描写も印象的だった。

 マイナスなのは、物語前半でポニョの父が口にする、海洋による地球支配の復活というシナリオが最終的に放置されたままで、物語が終ってしまっていること。また鈴木プロデューサーの方針で近年のジプリは、主要なキャラクター役には専門の声優を使わない方針のようだが、所ジョージの起用は明らかにキャスティングミス。演技がつたな過ぎる。勿論声優以外の起用が全てダメだと言っている訳ではない。そもそもは舞台俳優が生活のために声優業を始めたケースが殆どだった訳だし、初めから声優志望の若い声優さんは演技力に幅や奥行きがないのも事実だ。また、たとえネームヴァリューをあてにした起用であっても、『天空の城ラピュタ』のムスカ役の寺田農やドーラ役の故初井言榮の演技は素晴らしい。しかし他方で『となりのトトロ』のお父さん役に俳優でもない糸井重里を起用するような、演技力を考慮しない配役は、作品の質を下げてしまうことにしかならないと思う。

 多くの人が頭にこびりついて離れなくなったと言う、エンディングテーマですが、僕は一晩寝たら忘れてしまいました(苦笑)。

 ところで、年末から始まり、現在も続いているイスラエル軍によるガザへの一方的な攻撃に心を痛めています。六日には国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営する学校も攻撃対象になり、避難していた一般民衆が四十人も殺されてしまったとのこと。今週末に東京でも行われる抗議集会やデモには、久しぶりに参加するつもりです。しかし国政では日本共産党と並び親近感を抱いている社民党も、イスラエルによる長期に渡る構造的暴力を捨象した内容の声明を出すなど(福島党首名義での談話「イスラエル軍のガザ地区への侵攻について」)、左派も含め、この問題に対する日本の政治のセンシビリティの欠如には唖然としてしまいます。

 http://www5.sdp.or.jp/comment/2009/dannwa09105.htm

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知世(Chise)

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知世(Chise)

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