2008-09-01

映画『空想の森』、活き活きとした人達と虚ろな僕 このエントリーを含むはてなブックマーク 

 今日は今のところは大丈夫なようだが、このところずっと夜は雷雨で気温はそれ程でもないものの湿度がすごい。

 しかし今日から九月か…そろそろ論文執筆に本腰を入れないと…。

 昨晩も日付が変わってから呑み出し明け方まで深酒だったにも関わらず、モーニングショーで観たい映画があったので、八時前に起床。夏蜜柑と珈琲で軽い朝食を済ませてバスで中野駅へ。中野駅からは歩いてポレポレ東中野へ。

 観たのは『空想の森』(監督・撮影・編集・ナレーション:田代陽子、2008年)。

 北海道のちょうど真ん中あたりに位置するという、新得町新内(にいない)地区の新得共働学舎で野菜担当のリーダーとして働く(多分)三十代初頭の山田聡美さん、その娘の山田あかりちゃん(一、二歳?)、別の牧場に勤務するその三十代初頭の夫の山田憲一さん一家と、同じく新内地区で二人で畑を耕して暮らす五十代の宮下善夫さんと宮下文代さん御夫婦が、主な登場人物。

 この五人の何年かの生活を、彼女等/彼等と語り合い彼女等/彼等と同じ目線に立って追っていくのが基調。或る意味ではそのコンテクストとして、共働学舎で暮らし働く人々、そして田代監督が新得町に移り住むきっかけとなった新得空想の森映画祭の様子が映し出される。

 離農した農家の残した家に住む宮下さん宅は、生活感溢れる雑然とした感じ。とは言え鍋やフライパンはステンレスの結構いいものだし、食卓もどことなくおしゃれ。ジャズバンドを組んでいる山田さん宅は食器も調理用具もしゃれたいいものを使っていて、いつも音楽がかかっている。聡美さんはさすがに農作業中はくたびれた作業着だが、ファッションにもこだわりがある様子。

 ライフスタイルやファッションだけではなく、農業に関する考え方や栽培法、生き方暮らし方にもこだわりを持っている。これは宮下さんも山田さんも先祖代々農家なのではなく、或る種の自分探しを経て農業を人生の生業として自ら選択したからだろう。

 勿論身体的にはしんどいだろうし、農繁期は毎日クタクタになるまで働いているのだろうが、地に足をしっかりつけて生き、充実した日々を過ごしていることが画面から伺える。言うまでもなく映画祭や共働学舎での餅つき等、楽しむ時はしっかり楽しんでいる。

 人間を低賃金で使い捨てることを何とも思わない、二極化への道をひた走る現在の日本の寒気のするような雇用をめぐる状況を考えると夢のよう。

 そしてまた、昨年度から何もかもうまくいかずに、日々絶望と後悔と闘い焦り苛立っている、僕自身の虚ろな人生と対比して、やや唖然とした。

 とにかく自分自身にとっての、そして周囲に対するケジメとして学位は取るつもりだけれども、来年度もキャリア形成に関して明るい兆しが見えない場合には、共働学舎みたいな所で学びながら働くことを考えるべきかもしれないな…疲れたし本当に惨めだ…。

 いかんいかん闇に喰われてはいかん…。

 ずっと好きな夢路行さんの農業青年と小学校教師の漫画『あの山越えて』を最近気分転換に読んでいることも影響しているのかも。

 映画『空想の森』のホームページは↓。

 http://www.soramori.net/

 ポレポレ東中野でのモーニングショーは今週金曜日までなので、観たい方はお早めに。

 http://www.mmjp.or.jp/pole2/

 作中にも登場した空想の森映画祭、今年は今月の13日(土)から15日(月・祝)までだそう。
 http://kuusounomori.com/index.html

 うつらうつら、いろんなことを考える。

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知世(Chise)

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知世(Chise)

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