2020-09-11

大森立嗣監督 「MOTHER」(EJアニメシアター新宿)を観て。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

長澤まさみが素晴らしい。こんな難しい役どころを、未婚の彼女はどうやって構築したのだろうか。最近のドラマなんかで、メリハリの効いたコミカルな役を演じてるのを観ても感心していたのだが。小劇場出身の演出家による舞台経験で培ったモノもあると思うが、この女優は凄い。どこか末恐ろしいぐらいだ。ホームレスの姿でトボトボ歩く後姿を見事に体現している。大森監督も、個人的に言えば当たり外れがあるのだけど、これは出色の出来映え。息子役の新人、奥平大兼も良い。よくぞ鍛えた。エライぞ監督。このまま汚れずに役者道を進んで欲しい。ただ、ここまで芯が、幹が、しっかりどっしり座った女優だと、阿部サダヲのブチ切れチャラ男演技が、どこか薄っぺらく見えた。あんまり頑張らない方が良かったのではないか。まあ、いいか。2時間程度で決着は着かないほど、テーマは重くて深い。考えても答えは出ない。でも、これでいいのだ。陳腐な観客への投げかけではなく、あくまでも静かに現実をとらえたカメラワークも素晴らしい。よらなくていいんだ。よらなくて。ああ。長澤まさみに馬乗りされたいぞ。

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大倉順憲

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