「第10回恵比寿映像祭」地域連携プログラム
高川和也『極点の現れ』 −映像作品上映+京都舞鶴、旧日本海軍第三火薬廠リサーチ報告会」
日時:2018年2月24日(土) 14:00 - 16:00 (13:30 開場)
会場:代官山AITルーム *入場無料(フード・ドリンクは有料)/ 事前予約制
Partnership event of The Yebisu International Festival for Art & Alternative Visions 2018
"Film Screening and Talk by Takagawa Kazuya"
Date and Time: Saturday, February 24, 2018. 14:00 - 16:00 (13:30 Door open)
Venue: Daikanyama AIT Room *Admission Free (Charges apply for food and drink) / Reservation required
AITでは、2月24日(土)に「第10回恵比寿映像祭」地域連携プログラムの一環として、アーティスト高川和也による映像作品上映と京都の舞鶴に滞在した際のリサーチ報告会を開催します。
高川は、主に映像やテキストを中心としたインスタレーションを発表しています。その多くは、自己と他者の境界線を主題にし、誰かの経験や思考を自己に取り込むことや、内在する他者の存在について、哲学や精神医学などの思考や歴史を参照しながら制作しています。自らの心理実験とも捉えられる作品の数々からは、不可思議なアイデンティティの輪郭が映し出されます。
そうした制作の主題を軸に、様々な場所、世代、体験から生まれる他者の「絶望に耐えるための言葉」の収集をすべく、2017年9月に、AITの堀内奈穂子がゲスト・キュレーターとして参加した京都、舞鶴のアーティスト・イン・レジデンスプログラムに参加し、現地に1ヶ月間滞在しました。かつての軍港であった舞鶴は、アジア・太平洋戦争時代に国内屈指の火薬工場、旧日本海軍第三火薬廠を有し、当時は学徒動員も含め約5000人が働いていました。高川は、同地のそうした文脈に着目し、かつての学徒であった人々へのインタビューや、舞鶴空襲に関する証言を編纂した関本長三郎氏との対話を通し、極限の状態にあった人々がどのような言葉を紡ぎ出すのかリサー チを行いました。
今後、こうしたリサーチは、戦争の歴史に限らず、異なる時間や場所、また、身の回りで出会う人々へのインタビューを通して、現代における格差や差別、孤独、喪失、怒り、無力感の中から絞り出される言葉や、そうした状況に立ち向かう創造についても収集範囲を広げながら、新作へと昇華させます。 当日は、高川が舞鶴で出会った関本長三郎氏と、高川が暮らす川崎で、在日であるアイデンティティをラップを通して言葉に紡ぎ、近年は身寄りの無い高校生にラップを教えるFUNI氏を迎え、「言葉」の先に現れるものについて対談を行う他、高川が心理カウンセラーとの対話を通して自己を記録した映像作品《ASK THE SELF》の上映を行います。
一見結びつかないとも言えるラップと手記の編纂が、高川の実践や言葉の収集を通してどのように紐づけられていくのか、また、遠く感じる人々の記憶について、一緒に考えてみませんか。みなさんのご来場をお待ちしています。