2017-05-24

作品集店舗販売のお知らせ このエントリーを含むはてなブックマーク 

 2015年に出版した作品集『GRAMMATICAL LUXATION』が以下の店舗で販売されています。

------
NADiff a/p/a/r//t
http://www.nadiff-online.com/?pid=118115037

BIBLIOPHILIC & bookunion 新宿
http://blog-bibliophilic-bookunion-shinjuku.diskunion.net

カネイリミュージアムショップ6 (せんだいメディアテーク1F)

STORE15NOV
https://store15nov.jp
------

 オンラインの通販サイトに反映されてるのはNADiff a/p/a/r//tのみですが、各実店舗で販売されています。収録されている作品は少し難解に感じるかもしれませんし、決して安い商品でもありませんが、内容には自信を持っています。

 簡単な商品説明は下記です:
-
戦前・戦中・戦後に地下流通したポルノ小説を、ある規則に従い解体・再構築したドローイング・シリーズ“Grammatical Luxation” 全567枚を収録。限定80部で制作された限定版。作家のサイン、ナンバリング付。作品の解説文(英語)の日本語訳が別紙で付属。
-

 作品集はモノクロですが、実際の作品は3色です。制作年は2014年です。
http://yoshihirokikuchi.org/yk_works_GL.html

 出版への経緯を説明すると以下のようになります:以前作品集を出版してくれたレーベルなどにも依頼してみたのですが、580ページのヴォリュームはどこも難しいとのことだったので、腹を決めて自費で出版しました。それは、“Grammatical Luxation”が、今まで作ってきた作品の中でも最も枚数が多く、また最もハードコアなコンセプチュアリズムを備えた作品で、今後の活動のひとつの指針になり得る、ある意味これまでの集大成的な作品だと思ったからです。出版に際し、YOSHIHIRO KIKUCHI EDITIONSというレーベルを立ち上げ出版者登録もしました。
 ですので、いわゆるzineのようなものでなく、ISBNコードが付いたよりパブリックな製品となっています。とはいえ限定80部なので、JANコードを取得しての一般流通は行っていません。

 予算を確保するのがなかなか大変なのでまだ実現できていませんが、今後も継続して新たな作品集を出版していこうと考えています。

 ところで、今回の作品集では本の構造を活かした工夫を加えています。
 作品Grammatical Luxationは81枚ずつの7つのバージョン(セット)に分かれていて、展示する際はそれぞれ個別に、厳密に指定された配置で展示されます。しかしこの作品集では、1枚1枚ページをめくる行為に新たな価値を加えるべく、オリジナルの配置(順序)を採用せず、7つのバージョン計567枚をコンピュータで生成した乱数をもとにシャッフルしました。7つのバージョンの境界が崩されて次にどんなものが来るかが予測できないようになっています。それはつまり、この本でしか体験できない鑑賞方法です。
 もう一つ重要なポイントは、7シリーズを同時に見ることができるのは、現在この作品集だけだということです。
 というのは、7つのうち2つは、Artist Pension Trust (APT)という現代美術のコレクションに特化した金融サービス機構に投資済みで、もう手元にはないからです。APTはNYに本部を構え現在ロンドンへ拠点を移行している非営利の組織ですが、コレクションには厳正な審査があるようです。つまりGrammatical Luxationは、相応に価値が認められたということでしょう。ちなみに評価額は1セット5000USドルです。
 APTの話題は、不思議と耳にしませんがとてもユニークな試みです。参加者は厳正な審査を通過した世界各国の若手〜中堅どころのアーティストで、人数は千数百人ほどです。その中には大きな展覧会やビエンナーレへの参加や、ターナー賞などの権威ある賞を受賞したりノミネートされたりするような活躍をしている方々も含まれます。なんて書いてしまうと、自分の周りにすごい人が居るから自分もすごいんだ、なんていう幼稚な錯覚を持っている愚かな奴のように思われるかもしれませんが、そうではなくて、僕ももっと結果を出せるようにがんばらなきゃいけないなあと思っているわけです。ちなみに僕は2013年に契約し今年で5年目になります。契約期間は20年です。
http://www.aptglobal.org/en/
http://www.aptglobal.org/en/Artists/Page/8255/Yoshihiro-KIKUCHI

 以上から作品集の価値が少しは理解していただけるのではないかなと思います。紙質や装丁にもこだわり、一切妥協していません。めちゃくちゃハードコアです。是非手に取っていただきたいです。よろしくお願いします。一発かっこよく大人の「大人買い」なんかしていただけると感激します。追加注文などいただくと興奮でチビります。
 
 (2015年〜2016年は忙しくて販売先を探す余裕がなかったため、このタイミングになってしまいました。今後は海外の書店やディストリビューターにも営業をかける予定です)

キーワード:

現代美術 / アート / ハードコア


コメント(0)


菊地良博

ゲストブロガー

菊地良博

“宮城県在住 美術家/実験音楽家 ”


関連骰子の眼

関連日記