今月発売された、3枚組DVDの『スローセックス・フォー・ウーマン』。
最後となりましたが、disc1の『カーマ・スートラ』について、
ちょっとだけ言っておきたいことがあるので、お話ししましょう。
これは、disc2の『魅惑のエクスタシー・マッサージ』が年輩向けだとすると、
逆さまに、どちらかと言うと若者向けですね。
古代インドの性典『カーマ・スートラ』から、
12の体位を選んで紹介しているわけですが、
まあ、ある程度の年齢であれば、
少なくともその半分くらいは、名前は知らなくともなぜか知っていると思うし
(う~ん、ってことは男性側の研究のおかげ?)、
体位ってほどの体位でもなかったりして、
これだったらむしろ日本の四十八手のほうが、
ネーミングだって趣があるし、日本の風土にも合っている、と正直思わなくもない。
でも、その四十八手だって、『カーマ・スートラ』の翻案だという話だから、
きっと、訳し方がうまかったのでしょうね(先人の功績~!)。
とは言っても、例によって実際の恋人どうしが実演しているし、
女性の顔ばっかりアップなんていうヘンなAV乗りでもないので、
女性の気持ちに添った、女性向けの作りになっているとは思います。
ただひとつ、私が翻訳した時から気になっていたのは、
それとは全然違う部分で、
作品中で、カーマ・スートラの研究者であるプレイカシュ・カタリ博士が、
レズビアニズムをセックスのヴァリエーションとして言及しているところ。
しかも、オーラル、アナルと並列して、レズビアン・ラブ?
そうですか、女どうしの恋愛は性愛の一形態に過ぎませんか…。
このハウ・トゥ・セックス・シリーズを出しているシンクレア社は、
アメリカだけに止まらず世界各国で好評を博しているのですが、
基本的にはヘテロに向けた作品しか作らないのですね。
しかし、悪いとは言いません、
もはや、レズビアンだけに絞った作品がこの世に存在するのなら、
ヘテロだけをターゲットにした作品もあってあたりまえ。
たとえそれが、ある人たちにとっては、
単なる因襲的なものであり、既成文化の押しつけにしか見えなくても、
その存在自体を否定することはできません。
ただちょっと、カタリ博士のその一言は、
なければもっとよかったのにな、と思わなくはなかった。
まあ、あんまりPC(political correctness)にこだわり過ぎると、
ほんとうにもうなにも言えないし、なにも書けなくなってしまうんだけどね。
ところで、こうしてdisc3から1まで改めて遡って見てみると、
スローセックスの実態は、
実はハードセックスであることがよくわかります。
私なんか、スローセックスとか聞くと、
ついつい、省エネ型のあんまり動き回らないセックスをイメージしちゃうんだけど、
それとは逆にむしろに知識とテクを総動員して、
時間とエネルギーを注ぎ込みまくるのが、スローセックスというもの。
その言葉ののんびりした印象とはうらはらに、
実践にはとっても体力と労力を必要とするものなのです。
こういったDVDはその実践の手始めとして、
自分のパートナーといっしょに見る、
なんていう使い方がいいかも知れませんね。
さあ、自分のセクシュアル・ライフをもっとハッピーにしたいという、
人生に必要な意欲をちゃんと持っている方は、
ぜひ自分の目でこのDVDを見てみましょう!
『スローセックス・フォー・ウーマン』
http://www.uplink.co.jp/webshop/log/002566.php
あ、最後にお断りしておきますが、
こんなことを書いていても、にゃんこは別によりよいセックスの伝導師ではありません。
その点、ぜひお間違いなきように。