2008-06-25

1000の言葉よりも - 報道写真家 ジブ・コーエン - 」試写会、感想。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

この映画は、現在、世界でもっとも危険地帯の一つであるイスラエル・パレスチナ地区、其処で妻子持ち(因みに奥さんはモデル業)である報道写真家ジブ・コーレンに迫ったドキュメンタリー映画である。

1995年、パレスチナ人の過激派によって爆破されたイスラエル人の乗ったバスを写した一枚の写真によって彼の名は世界中に知れ渡る。 しかし、彼は常にその場を避けて通る、何故なら、余りにも凄惨な光景が未だ脳裏に焼き付いているからだ。 その場で救助に当たった救急隊員、被害者などはセラピーの対象だったが、報道カメラマンは別、中には自発的にセラピーを受けたカメラマンもいるが。 一件スキンヘッドの彼、ヴィン・ディーゼル似な風貌をしている、彼は受けなかった。 あの肉片の飛び散った、人の焼けごげる匂いを未だに忘れられないのに。

報道カメラマンとして、編集部のデスクも一目置く彼の日常はスクープを貪欲に求める、その為なら、ある程度の犠牲はいとわない覚悟を持ち合わせた剛胆、且つ、アグレッシブな一報道カメラマンである。

「常に死と隣り合わせ」な現場、それはまさしく、ベトナム戦争での従軍カメラマンに似ていると感じた。 平和ボケしている日本人には実感できない、イスラエル国家からの抑圧で日々、「絶望的」なパレスチナ人の日常、そこから生まれる激しい憎悪、その修羅場に入り、イスラエル人であるフォト・ジャーナリスト、ジブは危険を承知で、スクープ写真を撮る為に、敢えて飛び込む。

彼を観て思うのだが、一種の「アドレナリン・ジャンキー」とも取れる危険地帯での撮影は、確かに真実を世界中に伝えるジャーナリズム精神が根底にある故の行動力だろうが、それだけでは説明できない、何かが彼を突き動かしている様に感じた、何故なら、上記にも記した様に「妻子持ち」で、奥さんは勿論美人、なのに、彼にとっての優先順位は、家族のそれよりも「スクープ写真」なのだ。

当然、仲間のカメラマン達は、その危険性故、独身、離婚者が多い。 観ていて思ったが、彼の奥さんも、かなりの強靱なメンタリティの持ち主かと思われ、何故なら、何時死んだと報告の入ってくるとも限らないパートナーと普通の神経じゃ、人生の伴侶にしたくないと思うのが普通、なのに、仕事上、滅多に帰宅できない彼と一緒に生活している、そんな特異性がどことなく奇異に映るから。

真のプロフェッショナリズム、そんな言葉か彼にはぴったりだ。

「よーし、自分も将来はフォト・ジャーナリストになるぞ!」って人には激しくお勧めしたい映画です。

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