大倉順憲さんの日記
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2011
12月
11
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川谷拓三映画祭 原田眞人監督「さらば映画の友よ インディアンサマー」(銀座シネパトス)を観て。
「タクシードライバー」をモチーフにしているらしい。ラストの殴りこみのシーン。デニーロに負けてないと思うぞ川谷さん!この映画、あまり当たらなかったと思うけど、僕は大好きな映画です。
川谷拓三映画祭 斉藤武市監督「河内のオッサンの唄 よう来たのワレ」(銀座シネパトス)を観て。
久しぶりに川谷さんをスクリーンで観た。しかも名画座。古びたロビーに飾られている、川谷さんの写真、愛用のジャケット、30年以上前の雑誌の記事、奥さんとの2ショット写真(新婚当時!)…これを観るだけで、涙が出てきそうになった。映画は、同名タイトルの続編。1本目は以前、テレビで深夜放送されたのを観たおぼえがある。川谷さんが「仁義なき戦い」から「前略おふくろ様」で一躍スターの仲間入りをした頃の、主演映画だ...
ミュージカル「ダンス・オブ・ヴァンパイア」(帝国劇場)を観て。
帝国劇場100周年記念企画の公演。100年かあ。阿知波悟美さんが、意外にも(シツレイ!)歌が上手かった。いや、全員、歌唱力、ダンスがお上手。日本のミュージカル界も、ここ20~30年で、かなりレベルアップしたのではないか。身体能力、技術の向上はもちろんのことだけど、手足が長くなって見栄えが良い。あとは、アンサンブルに野郎っ気が見えると良いのだが。
ベネット・ミラー監督「マネーボール」(新宿ミラノ座)を観て。
アメリカの野球界におけるGMの役割が、よくわかった。最近、巨人軍の内乱があっただけに、なおさらだ。大根だと思っていたブラッド・ピットが案外良い。フィリップ・モア・ホフマンが、抑えた演技で良い。
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2011
12月
04
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羽住英一郎監督「ワイルド7」(試写)を観て。
少年キングに連載されていた「ワイルド7」。35、6年前だろうか。テレビドラマ(実写)で放映されていて観ていたことがあった。テーマミュージックの「ワイルド7~♪」というサビの部分だけはよく覚えている。黒の皮ジャンにバイク。バイクに乗ること自体が、ややアナーキーなイメージがあった頃だ。皮ジャンも不良と呼ばれる人達しか着られない世の中だったと思う。主演は小野進也。(最近あまり観ないけど、商売変えをされた...
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2011
12月
01
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アルバート・メイスルズ監督「ポール・マッカートニーTHE LOVE WE MAKE 9.11からコンサート・フォー・ニューヨーク・シティへの軌跡」(試写)を観て。
冒頭、ポールが「9.11の時、どこにいたか」というインタビューに答えている。白人特有の高齢になってからのシワの多さに「さすがに老けたな」と感じていたら、次のカットがスタジオリハだ。ここでも「肉体もさすがにたるんじゃったなあ」と観ていたら、いきなりポールが「アイム・ダウン」を唄いだす。あのカールへフナーのヴァイオリン・ベースを持って!カッコイイー!やっぱロッケンローラーだぞ!いっきにビートルズに夢中...
ブライアン・クック監督「アイ・アム・キューブリック」(DVD)を観て。
クセモノ俳優ジョン・マルコビッチが、鬼才スタンリー・キューブリック監督を騙る詐欺師を演じるというので観たけど、イマイチ。「何故、詐欺を働くようになったのか」「何故キューブリックなのか」「何故ゲイなのか」が語られていない。(本物のキューブリックがゲイかも知らないけど)それに、最初のテロップで「これは実話…のようなお話」とあったけど、確か15年程前のイラン映画で「クローズ・アップ」(アッバス・キアロ...
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2011
11月
26
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成島出監督「八日目の蝉」を観て。
秀作。小池栄子が案外良い。少し猫背にしたり、たどたどしく喋ったりするのが鼻につく場面もあったが。「悪人」もそうだが、善悪とは何か?を考えさせられた。(子どもを誘拐するなんて悪いに決まってるのだけど)成島監督の他の作品も観たくなったきた。
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2011
11月
06
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太田省吾原作/キム・アラ演出「砂の駅」(世田谷パブリック・シアター)
無言劇というのを一度観てみたかった。20年ほど前に、大杉漣さんから昔の転形劇場のことを聞いてはいたけど。再演するとは思ってもみなかった。この雑多で無駄な音ばかりがありふれている今だからこそ、あえてやったのか。いやとても新鮮だった。大杉さんが途中、口笛を吹くシーンが沁みた。初老の男性と、女性がブラジャーを外して蝶の様に舞わせて遊ぶ姿には、心の中で爆笑した。セリフ(言葉)なんて要らないのだ。そこに存...
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2011
11月
02
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ザック・ブラフ監督「終わりで始まりの4日間」(NTV)を観て。
脚本、監督、主演をひとりでやってしまう奴は、「恥知らず」と云っていいと思っていたけど、これは出色の出来栄えだった。ザック・ブラフ、知らなかったぞ。ナタリー・ポートマンも良い。これが「ブラック・スワン」へとなっていくのか。大女優の片鱗さえ見えるぞ。これは、もういちど映画館で観てみたい。下高井戸シネマあたりでやってくんないか。
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2011
10月
31
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A.M.D企画「ナイフとリンゴ」(シアターコレド)を観て。
やはり70年代演劇のなごりが身に沁みているのだろうか。エンディングで、何かドカン!とやって欲しい。それがカタストロフィに行ってもいい。そしたらカーテンコールで救ってくれればいいのだ。この作品も、タイトルどおりに「ナイフ」のドカン!と「リンゴ」の救いはあったのだけど。・・・いっそのこと、アイドル役の女の子を殺して欲しかった。アイドルという虚像の世界と青森のリンゴ園という大地に根をはり実存する世界と...
EgofiLter公演 「IN/GO」(シアター711)を観て。
今から確か30年前、状況劇場の舞台を初めて観た。確か、大阪のどこかの神社の境内に建てられた赤テントだった。演目は「腰巻お仙」だったか。唐十郎、李礼仙健在。根津甚八もいたっけ?後から聞いたら、佐野史郎さんもチョイ役で出ていたとか。毒々しい照明と、何をしゃべっているかほとんどわからない観念的なセリフの数々、舞台真下に広がる池、お仙が木馬にまたがって漆黒の森の中に飛び立つ衝撃のラスト。今でも目に浮かん...
演劇ユニット 鳥端会議「五色の刻印」(アートシアターかもめ座)を観て。
知り合いの女性脚本家が執筆した女性の二人芝居。メクラの絵画モデルと画家マネージャーによる、オンナの嫉妬と情念が浮かび上がったお話。舞台奥にセットされた数百冊の本が並ぶ本棚が印象的。(後で聞いたら、もともと劇場にあったものだそうだけど)ん~。わからん。
大杉隼平と子ども達の写真展「my dear smile-笑顔のつづき-」を観て。
被災地の子ども達を追った写真展。被写体との親近感が、写真を通してよく分かった。子どもの笑顔が問答無用で美しい。昨今の放射能問題に関して、大人たちは嘘ばかりつき、嘘を嘘で塗り固め、もうどうしようもないところまできていると思う今、この子ども達の行く末だけが心配だ。僕には子どもがいないので、「どうにかなるや」と呑気なことを考えているけど、この笑顔の写真を見ていると、何かしなければ、何か考え直さなければ...
チャン・イーモウ監督「サンザシの樹の下で」(試写)を観て。
スバラシイ純愛ストーリーだった。物語の背景となる、中国文化大革命の事は、あまり詳しく知らないけど。その当時の、女子高生と青年のラブストーリーだ。最後には、青年が白血病で死んでしまうという、悲恋の物語。はっきりいって、ちょいとクサイぐらいの話。 女子高生役のチャウ・ドンユイの表情、仕草、手足の動き・・・絶賛!こんな「歩く純愛」みたいなコをよく見つけてきたものだ。初めての映画出演で、こんな演技が...
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2011
10月
26
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大浦信行監督『天皇ごっこ 見沢知廉・たった一人の革命』クロスレビュー
10年程前だろうか、歌舞伎町のとあるBARに通っていた頃、官能女流小説家のIさんとよく杯を重ねた。Iさんが書かれる艶のある文章のように、ご本人も色香を漂わせる方だった。あるとき「見沢知廉さんと、こんど呑むのよ」と聴いたのが最後、その店は突然閉めてしまい、Iさんともそれからお会いしてない。もちろん見沢知廉とのお話もそれまでだ。「右か左かわからん作家と、よく呑むなあ。しかもム所から出てきたばっかりだろ...
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2011
10月
17
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中島淳彦作・演出「Heavy Gauge」(赤坂RED THEATER)を観て。
形あるモノは、いつか壊れる。人もモノも、いつかは壊れて焼かれて灰になる。「千の風になって」じゃないけど、微粒子の単位で考えると、人は死して灰になっても地球上に存在するのだそうだ。そして土に混じり、海に浮かび、空を舞うのか。自分の居場所って何処なのだろうか。自宅か、オンナの部屋か、イキツケの飲み屋か、故郷の思い出の川原なのか。どこに存在することによって、自分のアイデンティティなんて変わるのだろうか...
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2011
10月
16
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神代辰巳監督「アフリカの光」(FC2)を観て。
アフリカへの密入国を夢見るショーケンと田中邦衛が、北海道の漁師町で船を待ちながら地元の人たちと共存するお話。この頃のショーケンは共演者から「天才」と言われたらしい。「天才」って、天から授かった才能なのか。確かにこの作品が公開された75年には、ドラマ「前略おふくろ様」74年には「傷だらけの天使」、77年には「祭ばやしが聞こえる」と立て続けに名作が生まれている。出来れば現場で見たかった。ショーケンを。...
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2011
10月
09
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空中スケッチ公演「イマジン~20kmZONE」(てあとるらぽう)を観て。
震災直後の福島県いわき市。頑なに退避せず、自宅に残った造園業の男の「死と再生」の話。3.11の震災についての舞台を観るのは、これで2回目だ。どちらとも、この大事件について、表現者として何か伝えなくてはならない衝動にかられた(ような)作品だった。「伝えなくてはならない」「伝えたい」ということと、観客が「伝えて欲しい」ことは、また別ではないだろうか。20年ほど前、先輩のNさんが芝居を作るのを手伝って...